この文章は1999年8月にホビー用品販売某社の通販会報に寄稿したものです。
「私とインターネット」
 私は東京郊外にある自宅で初心者対象のパソコン教室を開いています。今回、この会報にインターネットの紹介の記事をと言うことで寄稿させていただきました。女性という立場から、インターネット(註1)について、簡単ですが紹介させていただきます。

(註1)インターネット
 これを文章で説明すると1冊本が書けてしまいそうです。大雑把に言ってしまうと、貴女が購入したパソコンが世界中のパソコンと手を繋ぐことです。

(註2)通信白書
 郵政省より発行されています。平成11年度版は「特集 インターネット」が第1章として大きく取り上げられています。

女性のインターネット人口

 ホビーの会報に『インターネットの紹介、なぜ?』と思われる方も多いと思いますが、世の中の動きは、この「インターネット」に歩調を合わせていると言っても過言ではありません。では、どのくらいの人がインターネットを利用しているかということについて、平成11年度の通信白書(註2)からの資料をいくつか抜粋して解説していきます。
 平成10年度における我が国の15歳から69歳までのインターネット利用者数は、約千七百万人と推計されます。世帯普及率は11%に達っしています。なんと10件に1件の割り合いでインターネットに接続しているのです。では女性のインターネット利用率はどのくらいあるのでしょうか。図1を参照してください。この2年程で女性の利用率が顕著に増えている事がわかります。現在のところ主婦のインターネット利用率は6・7%と出遅れていますが、白書では、今後も家庭内にあるパソコンを中心にして、女性のインターネット利用は着実に増えていくと予想しています。
 図2では主婦がインターネットで利用する主な情報についての調査結果です。ダントツの第1位は「趣味と娯楽」です(趣味と娯楽がいっしょになった結果は、ちょっといただけませんが…)。
 さて、この結果を知ったホビー大好きな女性の方々、インターネットへの興味が湧いてきましたか。

図1   図2
(註3)ホームページ
 インターネット上で公開されている、資料館のようなものと考えてください。買い物ができる資料館も存在しています。

(註4)ネットサーフィン
 世界中のホームページを波任せで散策する事です。また、そういう人の事をネットサーファーとも言います。

私がインターネットを利用する時

 仕事以外の事で考えましょう。やはり自分の興味の有ることや趣味が中心になります。まず、朝は各新聞社のホームページ(註3)に行きます。最新のニュースと天気予報のチェック。その後は、料理のページやガーデニングのページ、俳句のページ、私の好きなアイルランドの情報のページなど、趣味についての情報や話題の得られるホームページをネットサーフィン(註4)します。時には、インターネットショッピングのページに行く事もあります。日本では購入できないような外国の品物を購入したり、地方の名産が直販できたりと、インターネットならではの特色を生かした買い物ができます。そう考えてみますと、インターネットの利点は、なんといっても自宅に居ながらにして世界中を歩けることでしょうか。

悦子庵
筆者ホームページ「悦子庵」
私とインターネットの出会い

 私がインターネットを知ったのはかれこれ7年くらい前でしょうか。海外の仕事が多かった事と、そのような仕事のおかげで社長も早くから興味を持たれていたようです。もともとインターネットは、おもに大学の研究機関で利用されていました。研究論文を発表したり、逆にその論文を勉強したりと互いの知識を個人のものだけにせず、共通の財産として利用してもらう為に公開したわけです。電子図書館のようなものだと考えて戴けるとわかりやすいと思います。
 外国も日本も無く、国境を越えたつき合いができるのも魅力がありました。その頃、今のような「猫も杓子もインターネット」の時代がやってくるとは考えてもいませんでしたが、なにか期待のようなものはありました。まあ、それをきっかけにして会社をリタイヤし、そして今の私があると言ってもいいかなと思える最近でもありますが。こんなふうに私の人生を変えてくれたインターネットですが、その当時は今のように普及していませんでしたから、それなりの出費と労力が必要でした。先行投資はビジネスチャンスを増やすという信念もありましたので、夫の協力の元、インターネット上でも仕事を進めることができました。

(註5)パソコン
 すでに註1でも述べていました。パーソナルコンピュータの略。個人が所有できるコンピュータの総称として使われています。
インターネットへの扉

 現在のインターネットの状況を数字で、そして私の体験で垣間見た貴女、この未知の道具「インターネット」に興味をもたれたでしょうか。やってみたいのですが、まず、何を用意したらいいでしょうか?と思われた方、インターネットへの扉が少しだけ開きましたね。
 先ずは「パソコン(註5)」を購入、といきたいところですが、私の場合は「好奇心とやる気」をまずお勧めします。「なんとなくパソコンを買ってしまったんですが、どうしたらいいでしょうか?」なんていう問い合わせがあるのですが、こんな方は結局、パソコンを使いこなせません。これはホビーの世界にも通じるのではないでしょうか。美しく仕上がったデコパージュの作品を見て、「どうやって作っているの?何を使うの?」の好奇心が、やがては自らの手で作品を作ってみようという「やる気」に結びついていくと思いますがいかがでしょうか。目的意識を持って何かに取り組む事はインターネットもホビーの世界も変わらないはずです。まず気持ちから、そして道具の選択。さあ、インターネットへの扉が開かれました。

 

(註6)メールアドレス
 電子メールアドレスとかEメールアドレスと言うこともあります。簡単にメールと言うこともありますね。

インターネットで自己主張

 インターネットへ繋げられると、まず、メールアドレス(註6)というものがもらえます。これはインターネット上にある貴女の私書箱です。簡単に説明しますと、便箋に向かって手紙を書くように、パソコン上で手紙を書いて、貴女の送りたい相手のメールアドレスを記載して送信します。相手の方は時間の有る時にパソコンのスイッチを入れて、メールを読みにいきます。私の友人も仕事・子育て・家事と忙しい年代ですので、電話のように相手の方の忙しい時間を煩わすことなく、また、ハガキや手紙のようにポストまで投函に行く必要もないということで利用しています。結婚してしまうと、とかく、家に閉じ篭もりがちになってしまう女性にとって、インターネットを利用することで外の世界とのコミュニケーションを保てる事は、大きな魅力のひとつでもあります。
 そしてもっと大きな自己主張もできます。メールアドレスを持てる事もそのひとつでしたが、『私がインターネットを利用する時』の項目でも述べましたように「ホームページ」が開設できる事です。例えばホビー大好きな貴女ならば、自分の作品をいづれは何かの形で発表したいと思っていられるのではないでしょうか。でも、本を作ったり、場所を借りたりではちょっと費用がかかり過ぎてしまう。しかし、ホームページならばそんな心配もなく貴女の好きな時間にページを作って、インターネット上に公開できます。そして、そのページに貴女のメールアドレスを記載しておけば、同じ趣味を持った方や興味を持たれた方からメールが来ることもあります。顔を見たこともない方とメールフレンドになれてしまうのも、この世界の不思議なところなのです。そんなふうにして横の繋がりが増えていく事で貴女の世界はより広がっていくことでしょう。
 うーん、少々うさん臭い話だな、と思っていられる方、これらは全て事実です。経験者の私が言うのですから間違いありません。私も趣味の茶道のホームページを開設していますが、それについての質問、お茶会の招待、茶道を習ってみたいので先生を紹介してください、等、様々な内容のメールを戴きます。固いイメージの強かった茶道の世界ですが、親しみやすい茶道の姿が公開できて良かったなと思っています。
 さて、拙文をここまで読んで頂いたホビー大好きな貴女ならば、この素晴らしい道具「インターネット」をどのように利用されますか。材料は揃っています。この会報を読んで頂けた方とインターネット上でお会いできるのを楽しみにしながら、筆を置きたいと思います。

筆者近影
筆者近影
筆者プロフィール

 生まれたところも育ったところも神奈川県小田原市。25歳の時に観光地箱根にある、老舗のホテルを退職して「写植オペレータ」の道へ進む。その道で4年ほど修業するが、時代の波はすでにコンピュータへと移行しつつある中、さる企業のソフトの開発に誘われる。そのソフトの開発修了後、フォント制作会社に就職。ここでの7年間、いろいろなコンピュータに触れる事ができ、恐い物知らずになりながら、徐々に独立する気持ちに目覚めてくる。そして、システムエンジニアになってくれそうな夫との結婚を機に退職。現在は彼と2人でSOHO(独立在宅事務所)を主宰。
 著書に「Macintoshの教科書」(1998年アスキー社刊)がある。

筆者お薦めページ

朝日新聞社
最新のニュースを無料で講読できます。他の新聞社のページと比較して、朝日新聞のページが一番読みやすいということで、お勧めします。

キューピー3分クッキング
放映内容と同じレシピが日替わりで登場します。過去のレシピは献立に悩んだときに使いこなしています。

エルミタージュ美術館
1週間通い続けても全てを見る事はできないと言われている此処も、インターネットで時間の有る時に見学します。

REI
日本では手に入らないアウトドア用品が格安の料金で購入できます。英語が苦手な方の為に日本語のページもあります。

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